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10.12.24

12月のパリ

クリスマス前の寒い時期にパリを訪れるのは十数年ぶりのことだった。
年の瀬のあわただしいときに、急きょ出張に出ることになり、あわてて飛び乗るようなありさまだった。

この2、3ヶ月は2週間おきに日本とヨーロッパへの行き来を繰り返し、ホトホト疲れ切ってもいたけれど、ひとつだけ楽しみもあったのだ。
クリスマス前の夜のイルミネーションだ。
それをモチベーションにでもしないと、なんとなく気の乗らない出張になりそうで、むりやり楽しみに仕立て上げたといったほうが正しいかもしれない。

また最近は、パリはヨーロッパ内への乗り継ぎとして経由することが多く、街なかにあまり来ていなかったこともあり、久しぶりに中央の気分を感じてみたかったこともあった。

なんど訪れても、パリの表面的な部分はあまり変わることがない。
もちろん時代の気分や空気感はその時々で変化もするし、ビルの中に入ってるお店などは意外と入れ替わってたりする。
それでも街そのものがそのままミュージアムのような、パリにしかないあのファンタジーな手触りは永久になくなることはないだろう。


大手デパートのギャルリー・ラファイエット、プランタン、BHVなど、まるでここは別世界でもあるかのような装飾をまとっていた。
でも僕には、ひとけの少ないヴァンドーム広場の、ストイックな香り漂う、あの冷たさ加減がちょうど良かった。
少しだけ心が洗われたような気持ちになって、帰ってくることができた。


滞在日数が短かったこともあって、大きなトピックスはあまりなかったけれど、ひとつだけ、今まで聞いたこともないような不思議な情報を耳にした。

フランスでは免許証のいらない車がある、ということである。
僕も最初に聞いたときは意味がよくわからなかった。

でも事実そういう車があるのだ。
いや、ある車に限っては、免許を取らなくても街なかを運転できるという決まりがある、というべきか。

パリに住むフランス人の知人と食事に行った先で聞いた話だ。
交通違反で点数(フランスも減点制のようだ)が膨らんで、とうとう免許取り消しになってしまったらしい。
「え?たしか車が好きだったはずだし、移動も困るんじゃない?」

ところが彼が続けて言ったのだ。
「免許のいらない車があるから、今はそれを乗りこなしている。でもいずれ免許を取りなおさなくちゃ」

「はぁ?」
さっぱり意味がわからなかった。

なんでも普通の車と変わりなく、街なかを普通に運転できる車なのに、免許証が必要ないということなのだ。
もちろんそれはフランス国内限定で、小さい車なのであまり遠くへは行けないんだけど、とも説明してくれた。

だけどそんな車がほんとうにあるとはにわかには信じ難く、これはフランス人の一種のジョークなのか?とかいろいろ考えてしまった。
ところが後日、彼との打ち合わせの場でその車に乗せてもらう機会を得ることになったのだ。

ルールとしては、16歳以上、500cc以下の車ということだったけど、見た目も乗った感じも日本車の「軽」のそれとさして変わらない。
一般的な車に乗せてもらったような気分だった。

興味のある方は一度ご確認ください。


パリで4、5日過ごしたのち、タイトなスケジュールのなか、チューリッヒに向
かった。
次回はその続きから。

プランタンのイルミネーション

ギャルリー・ラファイエットの圧倒的なウォール・イルミネーション


こちらはオテルドヴィルにある、BHV

パリの市庁舎もおごそかです


ストイックな気分漂うヴァンドーム広場

ヴァンドーム広場のメインツリー(?)


街を歩いていると凱旋門が顔を現した

当たり前に存在するかのように、エッフェル塔も景色に入ってくる


これが例の免許不必要車

この小型機でチューリッヒへ


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